「翔湊には才能がある」

 

俺は思うんだが才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないだろうか。どんなことがあっても、そこから離れられない執念とか、闘志とか、そういうものと似てる何か。俺はそう思っている。

 

「翔湊には才能がある」

 

アンタは俺によくそう言ってくる。才能があるって認められるのはすごく嬉しいし誇らしい。アンタは俺を買いかぶりすぎている気もするけど、他でもないアンタの言葉だから、才能があるってのもあながち間違っちゃいねぇんじゃないかってうぬぼれたくなる。

 

「翔湊には才能がある」

 

アンタは俺に呪文か何かのように、何度もそう言ってくる。その度にアンタは一瞬、周囲のざわめきも何もかも聞こえないかのように、とても悲しそうな眼をする。まるでたった一人でそこに立っているみたいに見える。

 

アンタにあこがれてこの世界に入って、アンタと一緒にいろいろなものを見てこれた。だから、アンタが俺を見てくれない度にどうしようもない気持ちに襲われるんだ。

 

 

今の俺は確かに、この場所から離れたくない執念があって、このステージに闘志を燃やしている。でも俺は、俺がものすごく好きで執着しているのは誰だと思ってるんだよ。

 

 

 

 

「翔湊には才能がある」って言われて翔湊はどう思うんだべっていう邪心かつうみさんの妄想見解です。