翔湊がいなくなってから
※告白後少ししての軸です
翔湊side
透矢さんの気持ち…ぶっちゃけある程度想定はできている。いつも能天気なくせにどこか自虐的なアンタのことだ。俺のことを自分が縛り付けるのが怖いとか考えてビビってるんだろ。ほんとめんどくせー性格だよな。俺のことが好きだって一緒にいたいって、そんなの目見たらわかるんだよ。どれだけ俺がアンタの目を見続けてると思ってんだよ。
縛り付けていいって、ずっとそばにいたいって言ったら、どうなるんだろう。いや…ちがうな。それじゃあきっとダメだ。俺がアンタに救われたように、変わらないものなんて、変われないものなんてなくて。それをわかっているから、心だけが変わることはないなんて言われても信じられないから。だからいろいろ悩んでるんだろうな。最近のアンタはいつも通りに振舞おうとして、ぜんっぜん違うんだよ。どう見てもあの告白のことを気にしてる。
そんなに自分を追い込むほどに悩まなくたっていいのに。そりゃ悩みたくて悩む人はいないけれど。でも、答えの見えない問題を悩み続けるのはとても体力のいることで…ほらまた。ぼーっとすることが増えてるよな、最近。普通の人ならとっくに悩むこと自体をあきらめてる。でもアンタは諦めない。自分自身に対してひたすら逃げずに向かい合い続けてる。
…………あー…なるほど。俺はアンタのそーゆー所が…好きなのか…。ただ、やっぱり俺が隣にいる以上は、笑顔でいてほしいって、普通に思うだろ。
どうしたらアンタの不安を拭いされるのか、俺は単純だからひとつしか思いつかない。アンタのそばから離れることになるけど、それでも、俺は永遠に、貴方の隣で貴方を愛していきたい。だから俺がアンタのその不安を壊してやれる男になるしかないんだ。
※翔湊が世界に出てからの軸です
透矢side
翔湊が、俺の前からいなくなった。世界を見てくる、そう書いたメモだけ残して、何も言わずにいなくなった。お前の世界はどんどん拡がっていくんだ。よかった。………よかった、俺から離れる日もそう遠くはないと、気づいていたから。これは当たり前のことなんだ。
どうして、翔湊の前だけでは酔いつぶれてしまっていたんだろう。
翔湊がいなくなってから、俺は酔いつぶれたことがない。
どうして、翔湊がいないと寂しいんだろう。
翔湊がいなくなってから、日々にぽっかりと穴が開いたような、つまらないことばかりだ。
どうして、翔湊にはどんなことでも言えたんだろう。
どうして、翔湊といる時は自然な俺でいられたんだろう。
翔湊がいなくなってから…この悩みを打ち明けられるような人がいない。
…どうして。
……そんなこと、もうとっくに気づいている。
翔湊にならできたこと…彩世にも、誰にも、全部はできないんだ。
初めは本当に、少しだけ。
でもそれが、気づけばどんどん大きくなって。
多分今ではもう、世界で一番、俺はお前に心を許してしまっている。
でも、それでも、俺は。どうしても。
なぁ、翔湊…実はまだ、ひとつだけ言っていない悩みがあるんだ。
俺は
翔湊を好きだって認めるのが怖いんだ…。
※しばらくして
透矢side
「そういや最近あいついないよな。なんつったっけ、えー…と、たしかカナタ、だったか?」
翔湊がいなくなってから少しして、俺のファンだというラッパー仲間のひとりによく話しかけられるようになった。距離が近くて、少し苦手だ。翔湊にはどれだけ近づかれても平気だったのにな。
そいつが急に振ってきた翔湊の話に、つい胸がぎゅっと締め付けられるような心地がする。
「あいついつもお前の隣で目ぇ光らせててよ、めんどくさいやつに絡まれてたよなお前。」
そう、だったのか、?知らなかったけど、少しうれしい、かもしれない。
「お前はあいつのこと何とも思ってなかったんだろ?」
…何とも思ってない?そんなわけ…いや、違う。そう思われても仕方ない。今まであったこと全部全部翔湊の優しさで、俺はそれに甘えて何とも思ってないって、そう思おうとしてたんだ。
ガタッ
「悪ぃ…俺、もう、行かなきゃ。」
飲んでいた分の代金を机においてから、静止の声も振り切ってただひたすらに走る。
…あぁ、今はっきりと自覚した。俺は…翔湊のことが、好きだ。
もうわからないって言って気づかないふりをするのはやめる。もう、翔湊は隣にいない。もしかしたら、間に合わないかもしれない。でも、それでも。
当てがあるわけでも何でもないのにあの日翔湊と見た朝日の昇る海に向かってただひたすらに走り続ける。
「はぁ……っ、はぁ……っ。」
……何してんだ俺。どうしよう、何で今なんだよ。どうして、もっと早く気づけなかったんだろう。どうして、どうして。着いたところで翔湊がいるわけがない。これから、どうすればいいんだろう。
「…透矢さん?」
聞こえるはずのない声が後ろから聞こえた。
「うわっ、何してんだよアンタ。汗だくじゃねぇか。」
慌てた様子で俺の首にタオルを当ててくる、いるはずのない人。
「…かな、た、?」
「あぁ、俺だよ。」
「なん、でここに。」
「あー…今帰ってきて、その、アンタに会う前にこの朝日が見たくなってな。それより。」
一息つくと、いつものように笑って俺の前に立つ。
「ただいま、透矢さん。」
「……っ!!」
絶対に帰ってこないと思っていた。もう、この気持ちを伝えられないんじゃないかって思っていた。でも、帰ってきてくれた。
「俺、アンタの言った通り世界を見てき」
翔湊が何か言おうとするのを遮って、思わず目の前にいる翔湊を抱きしめる。
「……好きだ!!!!」
「………は?」
「俺は!!お前のことが好きだ!!!」
ポカンとした顔を朝日に負けないくらい真っ赤にして、翔湊が何か言いたげに口を動かしている。
これは彼らの物語。彼らの、すれ違い続けた末の物語。
おわり!!!!!
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おまけ
かなとうのイメ花
透矢
花言葉:豊かさ、鮮やかな人、強い個性
もう完全に先輩やんって思ったよね!!!そんでもう一つの意味が決め手になったんだけど
『私に触れないで』です。
これはこの花の種がパンパンに実に詰まってて触れたら弾けちゃうところからついた花言葉なんだけど、
先輩が恋心をためこんでためこんでとあるきっかけで弾けて暴走しそうだなってことでこの花を選びました。
翔湊
①大陸の名前になったとにかくクソデカスケールのお花→クソデカ感情
②この花に名前を付けた人は、未知の大陸を探している時に、疲れ果ててこの花を見つけました。その時に、この美しく綺麗な花を見て心が大きく動かされたとの逸話があり、魂の花とも呼ばれています。→先輩が翔湊の才覚に惚れたところをイメージ
③花言葉
情熱、あなたは魅力に満ちている、あなたしか見えない
→翔湊じゃん!!!!!!
以上です。